マーケターの誇り
ひとのこころを動かす仕事
マーケティングはなぜ楽しいのか?
マーケティングという仕事の面白さ、というか、そういうのはどこにあるのか考えてみると、ここにたどり着くと思うし、それは、私たちマーケティングに携わるものの「誇り」みたいなものにも通じると思うのですが、結局、
「ひとのこころを動かして、ひとの行動を変えてもらう」
ということなのだろうと思うのです。
もちろん、これは大抵の対人の仕事に通じることで、マーケティングに限ったことではないんですが、マーケティングの場合は、これを多くのひとを相手に、直接会わずにリモートで、効率よくやることが求められます。
モノを作るだけ、ではない。
しくみや制度、法律・規制などを組み立てておしまい、ではない。
正しい知識や情報を与えればいい、ということ・だけではない。
伝えればそれで済むわけではないし、理解してもらえばいいだけでもない。
ひとの行動が変わって、その結果として目指す目的・結果(ビジネス)が達成されて、初めて仕事がコンプリートする。
こころ・気持ちを動かす
マーケティングでは、(政策などと違って)行動を変えるために、罰則を設けることはできません。
マーケティングコミュニケーションの手法として、脅す、追い込む、焦らせる、というのが、無くはないんですが、長い目で見るとあまりいい結果につながらないし、実際、自分の経験としても、あまりいい思い出はありません。脅して得たお客さんは、すぐ離れます。
また、「そっちのほうが正しいから、得だから、間違いないから」という理屈だけでは、ひとは自発的に動いてはくれません。
たとえ、それに大量のメディアを投下したとしても、大変効率が悪い。
ひとの感情や感覚や大義に働きかけることで、自発的に行動を変えてもらわないと、効率よく結果につなげられないわけです。
「楽しそうね」、「かっこいいなぁ」、「私がやらなくて誰がやる!」みたいなことを引き起こさないといけない。
つまり、ひとのこころ・気持ちを動かすことが求められている仕事なんですね。
だからマーケティングの仕事は
さて、そのためには、私(ブランド・会社・製品・サービス)は一体誰なのかをはっきりさせて、誰に好きになってもらいたいか考えて決めて、彼・彼女がどんなひとでどんなことを考え感じているかを知り、何をわかって・感じてもらえばいいのかを考えて決めて、どう行動を変えてもらいたいのかをはっきりさせて、どういう伝え方がいいかを考えて、いつやるのがいいのか考えて、作って、伝えて、というすべての作業が必要なわけです。
そして結果が出たとき、それはつまりそのひとのこころを動かして、行動を変えてもらえたんだ、ということの証、あるいは、そうならなかったんだという反省。
それを見て、また次にやるべきことを考えぬく。
こうしたことが、当然のように「こころを動かして行動を変えてもらう」ことにくっついてくるので、マーケティングの仕事はかくも多岐にわたるわけです。
そして、これが、なかなか当たらない…。
で、当たった時は、「よっしゃ」、「やっほぅ~」、「(さすがオレ)」、「よかったね」、「ありがとう!」となるわけです。
しかも、ときどき、お客さんの生活などの変化を実際に目にすることができたり、お客さんにお礼を言っていただけることもあったりする。
いやぁ、楽しいはずだわ。