2.クリエイティビティを支えるモノ・コト
ここでは、「じゃ、それを可能にする周辺要素って、あるんじゃないの?だとすれば、何?」ということについて、すごい私見ですが、書いてみます。
いろいろあるんですが、重要なものをまとめてしまうと、
A.妄想する力、わくわくする力
B.プレゼントのもらい手を知る
C.ちゃんと渡す力=実行力
でしょうか。
もしかすると、特にAとか、「それこそがクリエイティビティなんじゃないの?」という疑問が聞こえてきそうですが、私はあくまで「周辺要素」だと思っています。
なぜなら、あなた自身ができなくても、近くにいる他人ができればいい、からです。
前置きはこのくらいにして、本題に入ります。
A.妄想する力、わくわくする力
A.ビジョンを描く力といってもいいんですが、もっとわかりやすく考えると、「妄想する力、と、それにわくわくする力」と言ったほうがいいかも。
世界が、日本が、世の中が、消費者の生活が、あるいは、あなたの好きな人の暮らしがどうなるか、を、「こうなったらいいのになぁ~」と妄想し、さらに、その妄想に自分でわくわくしてしまう力、です。
(って書くと、あほみたいですが、実は大事です。)
この時、目の前の課題をどう解決するのか、については、あまり考えないほうがいいですね。そうすると、ずずずっと左脳が出てきて、「失敗しないためにどうしたらいいか」を考えてしまうから。
どうなったら、素敵か、かわいいか、うれしいか、わ~~い!ってなるか、と考えましょう。(ここが、通常の問題解決型のマーケティング思考と違うとこですね。)
夢を見て、その状況を想像する。
そして、次にやらないといけないのは、その想像上の状況に、わくわくすることです。
上述したように、実は、このスキルは「周辺要素」、つまり、自分でできなくても、近くにいる誰かができればいいんです。
リーダーの妄想に乗っかって夢を現実にしてきたひとたちって、たくさんいますよね。また、ビジョンはすでに与えられていて、あなたはそれを実現するのが仕事、という場合、ありますよね。
つまり、妄想そのものは、別のひとがやってもいいわけです。で、その場合、あなたに必要なことは、その妄想を理解し、好きになり、その妄想に「わくわくする」ことなんです。妄想に「乗っかってみる」ということ。
「いいリーダーは、いいフォロワーでいられる」と言われるのは、このことかも知れません。あるいは、「すごいクリエーターの後ろには、素晴らしいクライアントがいる」と言われるのは、これですね。
B.プレゼントのもらい手を知る
B.さて、A(妄想)をやっているときに、気を付けないといけないのが、「ひとりよがり」です。好きなひとに渡すプレゼントについて考えていただければ、「あるある」って思っていただけると思いますが、「ひとりよがりなプレゼント」ほど、寒いものはないですよね。そうならないために必須なのが、「プレゼントをもらってくれる相手のことをよく知っている」ことです。
マーケティングの対象となるターゲットが、どんな人で、どんな生活をしていて、何を欲しがっているか、何に悩んでいるか、何を楽しいと思うのか、どのように生きたいと考えているのか、そして、「そうそう、それがうれしいのよ」と言ってもらえることが何なのか、そういったことを知っていることは、すごく基礎的なことですし、とっても大事なことです。
「マーケティングをやる以上、ターゲットのことを理解しておきましょう」っていうのは、「常識」ですが、ここのポイントは、「マーケティングにおけるクリエイティビティで、目指すお客様に『きゃ~~~、うれしい、ずっとこれが欲しかったの!』って言ってもらうためには、その人自身が気づいていないことまで理解しましょう」なので、ちょっとレベルが高いです。
サプライズギフトのもらい手に、「さむ~~~い」って絶対に言われない、「そうそう、それがうれしいのよ(きゅん)」って言われるものを、開発する・用意する、そして贈る。クリエイティビティですよね~。
さて、これも、周辺要素です。
あなた自身がすべてを理解していなくても、あなたの近くにいる誰かが、もらい手のことを深く理解していれば、あなたは、その理解を理解し、うれしいサプライズを考え出せばいいので。
多くの場合、すごいクリエーターやデザイナーの近くに、優秀なプランナー的なひとが存在しているのは、これです。
C.ちゃんと渡す力=実行力
C.いい妄想に引っ張られて、わくわくしながら、あれとこれを組み合わせて、あの子にうれしがってもらえるに違いないサプライズギフトのコンセプトを思いつけたとして、もうひとつ、絶対に必要なものは、それをちゃんと形にして、ちゃんと手渡せるプロの力=実行力です。
クリエイティビティを発揮するすべての要素をクリアできるひとが、同時に、それを実現できる、実現のための絵が描ける人(たとえばデザイナーとか)であれば、その思いを形にできるのですが、とても多くの場合、マーケター=クリエーター・クラフトマンではありません。場合によっては、組み合わせと妄想と貰い手の理解が完璧なくせに、「で、それって何なの?」が、全く形になってなかったり、どうやって作っていいのかわからない、ということもあるでしょう。
そういうときに必要な「周辺要素」が、「その妄想を形にしてくれる才能・スキル」です。
そういうプロがいないと、せっかくの「夢」も、形になりません。
でも、周辺要素なので、「なんでも言ってごらん、作ってあげるから」というプロがいさえすれば、作れちゃいます。
逆に、「思いつきや狙いはいいんだけどね~、失笑~!!」というマーケティング(製品とかサービスとか、パッケージとか、広告とか)、よくありますよね。
それらは、ここで残念なことになっているわけです。
もし、あなたがクリエーター側にいらっしゃる場合は、この逆。発注者の夢・妄想を実現してあげるのが、あなたのプロとしての力、です。
と、以上、2章にわたって、クリエイティビティとは、スキルとして考えたときに何なのか、そして、それを支える周辺要素で必須のものは何なのか考えてきました。
「マーケティングにおけるクリエイティビティとは」という問いに対しては、このへんが、私がまとめられることのほとんど(かつ限界?)です。
最後に、あとひとつ、書きます。
「勝ちパターンを見つける」と題して、私自身の、「こういう風に考えたりするようにしています」という話。
一般論でもHow-toでもありませんが、自分はどういうときにクリエイティビティを発揮しがちかを考える、について書いてみます。